カラスバが”あの感情”に気づく話

『溺愛』  彼女のそばにいると胸の奥がじわじわと騒ぎ出す。 香りが触れただけで、声が届いただけで、気配が近づいただけで……心が沸き立つ。最初はほんまに小さな好意やった。“ええ子やな”で済むはずの感情やった。 それがいつの…

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カラスバが恋人と静かな幸福に触れる話

『とける夜』  夜の気配が静かに沈んでいく部屋。 本を読みながら、ぬるいランプの灯りだけがナイトテーブルを照らしていた。紙の匂い、インクの匂い、遠くで鳴る時計の音。 ゆっくりとページを閉じて、指先でフレームをつまむ。 カ…

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