訳あり男の松川くんと結婚する話

 マリーゴールドが、揺れている。 「じゃ、戸締り忘れないようにね」「わかってるって、キー忘れてるよ」「ありがと、あと、夜更かししないようにね」「はいはい」  鮮やかな橙と山吹が美しい花束を抱えた夫に、先週納車されたばかり…

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恋人の松川くんに贈るチョコを探す話

『バレンタイン・ブランデー』  この時期になれば、街の色がじわりと紅く染まる。ハートの飾りが視界の端に引っかかって、デパートの催事場に足を踏み入れた瞬間、甘さが空気ごと喉に触れてくる。ディスプレイも、試食の匂いも、乙女た…

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同棲中の松川くんとの日常01

『いつもの和室』  ある日。 和室で、彼女はうつ伏せになって本を読んでいた。 畳に頬が近い距離で、い草の匂いをゆっくり吸い込んでいる。あの匂いが好きなんだ、と前に言っていたのを思い出す。白い障子越しの光が、昼の輪郭をやわ…

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